リチウムイオンバッテリー材料編:正極および負極1
正極材料について
現在のLIBの正極活物質は、初期のコバルト酸リチウム(LiCoO2)から始まり、ニッケル・マンガン酸リチウム(Li(Ni-Mn-Co)O2)、ニッケル酸リチウム、ネオジム酸リチウムフェート素材(LMO)、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)が主流となっている。これらの特徴として
(1) コバルト酸リチウムは、エネルギー密度が高い。
放電容量が比較的大、1980年代にはソニーによって商用化された
レアメタルのコバルトを使用しているため高価、熱安定性に問題あり。
そのため、寿命が短く、高温環境では使用ができないという欠点を持っていることが明らかとなった。
(2) 三元系は、高容量および高電圧が特徴
2000年に米国、日本で商用開始となったこの材料は、放電容量を増やすことは容易で、安全性にも長けているため、現在ではHV、EV用の用途、そしてLIBで使用されている。
(3) ニッケル酸リチウムは、高容量化および高電圧を達成可能
化学反応性が原因で商用化の障壁となっている。しかし、コバルトやアルミニウムを添加する事で安全性の向上に目途がついている
(4) マンガン系は分子構造が三元系などと比較し安定している
安価で安全性が高く大容量の充放電にも適している事からHV/PHV用として採用されている
内部抵抗が低いため、高出力、高容量、高温化での充放電でも優れた特性が示されている
(5) リン酸鉄リチウムは安価で環境負荷が低い
安定性に優れる鉄を使用しているため燃えにくく、放電特性が優れている。
過充電、過放電制御が容易なため中国製の電池が世界中で多く出回っている。
電圧が3.2Vとエネルギー密度が低いため車載用としてはリチウムイオン電池と比較し適していない
ただ安全性が他のリチウムイオン電池より高いため、太陽光発電とセットで産業用、住宅用蓄電池、UPSなどの非常用蓄電池に向いている