過放電時の放電の停止

リチウムイオン電池の電圧が一定以下になると負極の塗布基材がイオンとなって電解液中に溶出し次の充電の際にはイオンが析出します。
析出する場所は元の場所ではなくセル内部のいたるところに析出してしまいます
正極に析出すると容量低下に影響し、正極の機能を落としてしまう原因となります
またイオンが電解液中に溶出した状態では、銅よりも鉄のほうがイオンになりやすい(イオン化傾向が大きい)ため銅が金属として析出し、鉄がイオンとなって電解液中に溶出して缶が溶け出し穴が開く原因となります
過放電電池を放置すると、電池に穴が開き電解液が出てきてしまいます
電解液は導電性であり可燃性でもあるためプリント基板等に付着した状態で充電すると電解液が発火する恐れがあります
安全規格準拠の基板であっても燃えてしまう場合があります

深刻なセルの劣化が発生する電圧を下回らないようにする必要がありますが
放電特性カーブからもわかるように3V以下から急激に電圧が低下します
特に2.3V程度以下では放電させると短時間に電圧低下が発生します
このため各セルの電圧を監視し設定電圧以下で放電を停止する機能が必要です
保護回路は通常、過放電保護状態でも充電はできるので保護状態を解除するためにリチウムイオン電池の電圧を設定電圧以上にする必要があります
保護回路のICの種類によって解除の方法が違うので注意が必要です
しかし過放電保護状態の電池は何らかの問題があるため電圧復帰で自動的に解除するのではなく充電を行って解除する方法を推奨します

過放電保護動作にも若干の遅延を設けますが過充電保護ほどではないのが一般的です

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