リチウムイオン電池は充電方法を誤ると発火、爆発等の事故を起こす恐れがあります。
充電方法は一般的に電圧がセルあたり最大4.2V、電流は1C以下とされています。

電圧は4.1Vとする場合もあるようですが4.2V設定が一般的です。
充電電圧が低いと容量が減少しますがリチウムイオン電池の寿命は改善されます。
充電電流が規定値より大きすぎると負極内にリチウムガスが発生します。
リチウムガスは非常に危険で発火等の事故が発生しやすくなります。

リチウムイオン電池の充電は電圧と電流を管理する定電流定電圧充電(CCCV)方式といいます。
ニッケル水素電池やニッカド電池では電流のみの定電流充電が行われます。
しかしニッケル水素電池やニッカド電池では充電を終了判定が難しく電圧の変化点やセルの温度が急上昇するところを検出する機構が必要で充電器としてはリチウムイオン電池用のほうがシンプルになります。

リチウムイオン電池のCCCV充電

図はhttps://industrial.panasonic.com/www-data/pdf2/ACA4000/ACA4000CJ247.pdfより引用

電池パック内にサーミスタを入れて電池セルの温度を検出する場合があります。
リチウムイオン電池では必ずしもサーミスタを入れる必要はありませんが電池メーカーが充電温度範囲を規定しているのでその温度範囲内にあることを検出するためにサーミスタを入れるという理由があります。
リチウムイオン電池は低温で充電した場合、正極から出たリチウムイオンが負極に吸収されにくくなりリチウム金属が析出し事故が発生しやすくなります。
また高温だと充電電流による温度上昇で電池が高温になる場合があります。
これがリチウムイオン電池で、充電時の温度範囲が規定されている理由となります。

リチウムイオン電池の充電温度範囲は0℃~45℃程度と一般に規定されています。
範囲を超える低温もしくは高温環境は実用的ではないといえるでしょう。
例えば0℃以下または45℃以上の環境下での充電はお勧めいたしません。

解説で相対的な電流量を示すCという単位が出てきますがこれは電池業界で一般的に使われる表現で1Cとは公称容量値の容量を有するセルを定電流放電し1時間で放電終了となる電流値のことです。
たとえば3.4Ahの公称容量値のセルでは1C=3.4Aとなります。
CCCV充電は放電状態から充電を開始すると当初電圧は低いため定電流充電となるが次第に充電量が増加してセル電圧が4.2Vに達すると定電圧充電となり4.2Vを超えないよう電流量が絞られます。

満充電は充電時間または充電電流の減少状態で判断します。
充電時間で規定する場合は4.2V、1CのCCCV充電で充電時間2.5時間を満充電と定義することが多いようです
電流0.5C、電圧4.2Vの定電流定電圧充電では3.5時間が満充電となります。
リチウムイオン電池の欠点の一つはいわゆる急速充電が困難ですが1C充電の場合には充電開始1時間後には90%が充電され、0.5C充電の場合では120分後には90%以上充電されています。
電池の容量を満充電の90%と割り切れば急速充電ができることがわかります。

充電量は[電流×時間]で決まります。
CCCV方式での充電が長くなるのは電圧が上昇したときに電流値を小さくします。
パルス充電方式は充電中のごく短時間だけ規定電圧を超え電流値を大きくすることで充電時間を短縮しますがリチウムイオン電池に負担を与えるので推奨されていません 。

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