リチウムイオン電池の放電特性は電流、温度、充放電により大きく変化します
放電特性
横軸は放電容量、縦軸は電圧とし温度一定の放電電流をパラメータとしたグラフです
通常示されるグラフは、放電温度20℃において放電レート毎のグラフを表示するのが一般的です
1Cとは公称容量値のセルを定電流放電し1時間で放電終了となる電流値のことで3.4Ahの公称容量値のセルでは1C=3.4A、0.2Cは公称容量値の容量を5時間で放電終了となる電流値となり3.4Ahの公称容量値のセルでは0.68Aとなります
電池は大きさによって容量値が決まり電池特性は電流の絶対値ではなく容量値に対する相対的な値で決まります
よって電池特性を示すには放電レートを用いた相対表示が使われています
放電温度特性
横軸は放電容量、縦軸はセル電圧とし放電電流は一定とし放電中の環境温度をパラメータとしたグラフです
通常は放電レートが0.2C、温度が20℃と仕様書で規定している放電温度範囲の上限と下限値で示すのが一般的です
温度が低温になるとセル電圧は低下し、高温側は20℃のデータとほとんど同じ結果です
低温側で電圧が低下するのはリチウムイオンの移動が低温では動きにくくなる事が原因でこれはセルの内部抵抗が上昇し電圧ドロップが増加して電圧が低下したためです
リチウムイオン電池は低温での大電流放電時に電圧ドロップが大きくなる傾向があり通常セル単体では放電終止電圧を2.5Vとすることが多いのですが2.5Vからリチウムイオン電池パックが放電を禁止し放電を止めてしまう2.3Vまでは余裕が無く使用していれば非常に短時間で放電を止めてしまいます
そのためリチウムイオン電池の使用はセット側で電池パックの電圧が3V程度で電池残量が0と判断し(携帯電話では3.2Vを放電終止電圧と見ることが多いようです)よって低温側でセル電圧が全体に低下していくと使える電池容量は大きく減少します
セルの選定には使用される最低電圧、必要な最大電流、電池容量を決定する必要でマージンを大きくすると電池も大きくなりコストも増大してしまいます
リチウムイオンセル特性はあまり詳細には公表されていませんが特別な環境温度や放電電流のデータを取得する必要があります
特に、電流に関しては通常、一定電流で放電させることは使用時はあまりありません
電流パターンをシミュレートすれば電池の使用可能時間を見積もることも可能です
-10℃の放電パターンは放電開始直後に電圧が急激に低下しその後しばらく持ち直す挙動を示していますがこれは温度が低いほど、また電流が大きいほど顕著で電圧低下が止まる原因としてセル内部で抵抗損による自己発熱があります
リチウムイオン電池の温度が上昇することによって電圧値が上昇するためです
したがって、連続放電を行っている場合の特性を示しています
-10℃以下での放電は一般的な状況ではなくまず無い環境温度といえますがなぜ低温特性が着目される理由は低温特性は電池メーカーで特性が異なるため一般的には低温特性がよいほどセルの特性がよいといわれています
すなわち低温での放電の際の電圧低下が少ないことはセルの抵抗値が小さく大電流放電させた際のセルの温度上昇が小さいため連続的に大電流放電を行えるセルであることを示しています
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図はhttps://industrial.panasonic.com/www-data/pdf2/ACA4000/ACA4000CJ247.pdfより引用