九州工業大学大学院 奥山 圭一教授 その3

九州工業大学 大学院 奥山圭一教授より提供いただいた運用データ、情報を記載します

小型深宇宙探査実験機における自動制御システムの設計手法 その2

3. 「しんえん2」の深宇宙通信形式

「しんえん2」には,WSJT2-3)をベースとした通信方式を採用した.図2にWSJT通信方式の概要を示す.

200Hzから1.4kHzにおいて200Hzステップで7本のスペクトルのスロットを用意し, このうち最も低周波を常時出力する.
ここでは, 200Hzにあたる.
残りの6本のスペクトルを0から9までの数字および制御符号に割り当てる. 送信電力を一定にするため,
また, スロットあたりの送信電力をなるべく大きくするために, 6本のうち2本が1,
残りが0となるようスペクトルの組み合わせを選ぶ.
これにより, スペクトル線1本あたりの電力は0.8W/3≒0.2Wとなる. スペクトルの本数は,
常時出力する本数を含めて必ず3本となることから, これをデータのエラー検出に用いる.

しんえん2WSJT

図 2 WSJT通信方式

図3にしんえん2におけるWSJT通信方式について示す.
しんえん2では,各周波数それぞれに4つの信号を対応するようにした.

図3の左グラフにおいて,縦軸は周波数,横軸はスペクトル.右のグラフにおいて,
横軸は時間を表す.図3のように3つの数字の並びを解析することでデータを得る.
表1に解析における対応コードを示す.

しんえんWSJT方式

図 3 しんえん2におけるWSJT通信方式

表 1 データ解析における対応コード表

コード 文字 コード 文字
011 BOF 023 4
012 0 031 5
013 1 032 6
021 2 033 7
022 3

例えば,図3において,地球局が”011”を受信した際,それは”Beginning of Flame”を示す.
さらに,”023”を受信した際には”4”を示す.このダウンリンクデータは,13 bytesで構成される.
表2にダウンリンクデータの構成表を示す.シンクロコードは2bytes, BOFが1/3 byte,
クラスコードが2/3 byte, そして,それぞれのデータが1 byteずつあり,
最後に解析用コードが2 bytesで構成されている.

さらに,しんえん2のWSJTにおける通信速度は1 bps であり,
13 bytesを受信するのに2分必要である.
これはしんえん2における放出後の回転について考慮したためである.

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