CATL(寧徳時代)のバッテリー製品情報 LFP(リン酸鉄リチウム電池)NCM/NCA(三元系リチウム電池)

バッテリーの種類と特徴
LFP(リン酸鉄リチウム電池)
CATL(寧徳時代)のバッテリー製品情報 LFP(リン酸鉄リチウム電池)NCM/NCA(三元系リチウム電池)
CATLはリン酸鉄リチウム(LFP)電池を大規模に製造しています
LFP電池はコバルトやニッケルを含まず、コストが比較的低いこと、安全性が高いことが特徴です
エネルギー密度(重量あたりの蓄電量)はニッケル系電池より低めですが、熱安定性が高く熱暴走(発火事故)のリスクが小さいため、EVにおいて安全性重視の用途に適しています​

またサイクル寿命(充放電可能回数)が長く、同容量あたりのコストもNCM電池より約6%低いとの報告があり、長寿命・低コストの利点があります​

CATLのLFP電池はテスラの標準航続モデルなど多くのEVに採用されており、特に出力密度よりも安全性・コスト重視の用途(乗用車の標準モデルやバス、トラック、定置型蓄電システムなど)で広く使われています
BYD社の「ブレードバッテリー」を搭載したEVシャシー。LFPセルを細長いブレード状に配置しモジュールを省く設計で、パックの空間効率と安全性を高めている​

CATLもモジュールレス設計の「CTP(Cell-to-Pack)」技術を導入しており、同様に空間効率と安全性を両立している

NCM/NCA(三元系リチウム電池)
CATLはニッケル・コバルト・マンガン(三元系、NCM)リチウムイオン電池も主力製品としています(ニッケル・コバルト・アルミ系〈NCA〉も含め高ニッケル系として扱います)
NCM系電池は高いエネルギー密度を持ち、長距離EVに適した電池です​
例えばCATLの最新パック技術「キリン電池(CTP 3.0)」では、NCM電池のパック単位エネルギー密度が255Wh/kgに達しており、リン酸鉄系より大幅に高い蓄電容量を実現しています​

一方でニッケルやコバルトなど高価な資源に依存するためコストが高く​、熱的な安定性もリン酸鉄系より劣るため安全面で慎重な設計が必要です​

CATLは高ニッケル(ニッケル含有率80%以上の811系など)素材技術や独自の「Nano-rivetナノリベット」技術で、エネルギー密度向上と安全性確保の両立を図っています​
NCM電池は主に高性能EVやプレミアムEV向けに採用され、CATLはBMWやMercedes-Benz、VWの高航続モデル向けにもNCM電池を供給しています​