SVOLT Energy Technology(蜂巣能源)詳細調査レポート: 競合製品との比較

中国の電池メーカーである蜂巢能源は、BYDやCATL、CALBといった国内競合、および韓国LGエナジーソリューションなど海外勢との間で技術・価格競争を繰り広げています。それぞれの強みとSVOLTの位置づけを以下に整理します
SVOLT Energy Technology調査レポート
技術面の比較
エネルギー密度・航続距離: CATLの最新「麒麟電池(Qilin Battery)」はパック体積効率72%、エネルギー密度255Wh/kg級を実現し、一部高級EVで1000km航続を達成しています。SVOLTの龍鱗甲電池も同様にLFPで800km、NCMで1000km超を公表しており、CATL製品に匹敵する高性能を備えています
BYDは主力の「ブレード電池」(LFP)で600km前後の航続を実現していますが、SVOLTは高集積パック技術でLFPでもより長い航続を可能にしました
LGエナジーソリューションやCALBも高ニッケル三元系でエネルギー密度を追求していますが、コバルトフリー電池を既に量産投入している点でSVOLTは先行的です
もっとも、CATLもリン酸マンガン鉄リチウム(M3P)電池やナトリウムイオン電池など新系統を発表しており、材料イノベーションでは各社が鎬を削っています

高速充電
SVOLTは5C~6C急速充電(10~15分充電)対応セルを実用化しています
これはCATLやCALBの高速充電セルと同等水準で、800Vアーキテクチャへの対応も共通しています
BYDも一部車種で高出力充電をサポートしますが、ブレード電池はエネルギー密度重視の設計のため充電倍率はやや劣る傾向です
一方LGはニッケル系のためエネルギー密度は高いものの、急速充電性能では発熱管理などの課題があり、近年は各社とも熱制御技術を強化しています
SVOLTの熱電分離構造は、高出力充電時の安全性でもアドバンテージとなっています

安全性
安全性に関しては、BYDのブレード電池がその薄型セル構造で釘刺し試験での不燃性をアピールしてきました
SVOLTの短刀電池も同様に釘刺しで無発火を実証しており、さらに龍鱗甲の熱暴走防止機構で一歩リードしています
CATLやCALBも積層技術や難燃電解液などで安全性を高めていますが、セルレベルでの防火対策(SVOLTの底部排気など)はSVOLT独自色が強いです
LGエナジーも高ニッケル電池の安定化に向けてセパレータ改良等行っていますが、過去にいくつかリコール例もあり安全性確保は引き続き重要課題です

製造プロセス
SVOLTの高速叠片(スタッキング)工法はCALBやCATLも採用する積層型セル製造の最先端で、生産効率と品質で競います
BYDはラミネート巻回ハイブリッド方式を採用していますが、SVOLTは完全積層に特化しています
LGやSK On(韓国)は主に巻回型ですが、大型フォーマットでは積層方式も研究中です
製造装置の内製やAIスマート工場にも各社注力しており、蜂巢能源も常州のAI工場などで車載電池向け高度自動化生産を実現しています