REPT BATTERO(瑞浦能源)詳細調査レポート:経営陣(創業者・CEO経歴、幹部陣の役割、経営戦略・国際展開方針)

REPT BATTERO(瑞浦能源)詳細調査レポート

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創業の背景と主要人物
REPT BATTERO(瑞浦蘭鈞能源)は2017年10月、中国最大のニッケル生産企業「青山控股グループ」によって設立しました
創業を主導したのは、青山控股の創業者で“ニッケル王”とも称される項光達(シャン・グアンダ)氏と、現在REPTの董事長(会長)兼CEOを務める曹輝(ツァオ・フイ)氏です
項光達氏はニッケル資源を世界的に掌握する実業家で、EV時代の到来を見据え2017年に自社資源を活用した電池事業への参入を決断しました
彼は当時40歳前後で中国航天系の電池技術者だった曹輝博士に「君が社長(董事長)になり、他のことは何も心配いらない」という破格の誘いを行い、曹氏はこれを受けて創業メンバーとして参加しました
曹輝CEOは中南大学で博士号取得後の2006年から中国航天科技集団811研究所に勤務し、国家863計画の電池プロジェクトを多数主導した経験を持ちます
十年以上にわたり宇宙・軍用技術の車載電池応用に取り組み、中国で乗用車向けリチウム電池の産業化を先駆けて推進した専門家です
曹氏は「技術と資源が電池メーカーの二大支柱だが、青山グループを背に持てば資源問題は解決できる
だからこそ自分の技術を思い切り実現できる」と考え、報酬減額を厭わず持ち株を得る道を選び創業に踏み切りました
2019年には設立からわずか1年半で量産出荷(年産0→1GWh)を成し遂げ、極めて短期間で0→1の立ち上げに成功しています

経営チームと組織
曹輝CEOは技術畑出身で「產品力(プロダクト力)」を何より重視する姿勢を示しており、インタビューでも常に身を乗り出して技術語りをする“元・総工(チーフエンジニア)”の面影があると言われます
ただ経営者としては自身の不得手を補う副経営陣を揃えています
たとえば、胡暁東COOは生産運営の指揮、吳艶軍CTOは電池技術全般の研究開発、黄潔華CFOは財務管理とIR戦略を担当し、いずれも豊富な業界経験者です
さらに青山系から派遣された非執行取締役も複数名おり、筆頭株主グループの意向を反映する形で経営をサポートしています
例えば非執行董事の項陽陽氏は項光達会長の娘で戦略投資を統括し、王海軍氏は青山系投資会社の役員としてガバナンスを監督しています
研究開発面では、上海・温州・嘉興にR&Dセンターを構え、元CATLやBYDの電池専門家も招聘して3000人以上の研究者を擁する体制です(全従業員の25%以上)
取締役会には独立董事として外部から清華系や資本市場出身の専門家を招き、コーポレートガバナンスの強化も図っています

経営戦略
REPT経営陣の戦略は、「動力と蓄電の両輪」「技術革新による差別化」「資源バリューチェーンの活用」「国際市場の開拓」の4本柱にまとめられます
まずEV用動力電池とESS用蓄電池の双方に注力し、市場変動に対するポートフォリオ効果を狙っています。曹CEOは「うちは顧客が非常に分散しているので、一方が不振でも他方でカバーできる」と語り、実際2023年は中国EV市場が価格戦争で利益率悪化する一方、海外蓄電需要の拡大が収益を牽引しました
第二に技術面では“問頂”構造設計など独自技術で性能を高めつつ、価格ではCATLに対し2割安で製品を提供する戦略を採りました
高性能と低価格の両立でシェア拡大を図るいわゆる「性価比(コストパフォーマンス)極致」を追求しており、曹CEOは「最終的には製品の性能価格比の勝負になる」と語っています
第三に親会社・青山グループの経営資源を徹底活用する方針です
青山はニッケル・コバルトなどリチウム電池材料の上流を押さえ、前駆体~正極材まで事業展開しているため、垂直統合による資源調達コスト優位を持ちます
実際、リチウム価格高騰で2021年~2022年に他社は収益圧迫されましたが、REPTは青山系サプライチェーンのおかげで比較的安定調達が可能だったとされます
青山傘下には前駆体大手の中偉新能源(CNGR)もあり、ニッケル・コバルト供給網とのシナジーは競争力源泉です。第四に国際展開戦略として、早期から海外市場で実績を積む狙いがあります。既に売上の相当部分を海外案件が占め、2022年には中国の蓄電池輸出でシェア第3位になるほどでした
経営陣は「欧州市場は電動化がゆっくりだが確実に進む。欧州・米国の製造拠点設立も視野に入れ戦略的に動く」と述べ、2024年以降はインドネシア工場を皮切りに海外生産比率を高める方針です
米国市場については補助金政策(インフレ抑制法)などを注視しつつも、将来的には参入を検討しています
また大手自動車OEMとの直接協業**も重視しており、後述のように欧米日系自動車メーカーとの開発・供給契約も獲得し始めています
経営陣は技術と資本市場の双方で大胆かつ慎重に舵取りをしており、2023年末の香港IPOもこのグローバル戦略の一環でした

国際展開の方針
曹CEOは「躍進する国内EV市場は既に過当競争だが、蓄電池分野には更に大きな成長余地がある」と指摘し、特に海外ESS市場に期待を示しています
欧州では自動車用途のみならず電力貯蔵需要が急増しており、REPTは両市場をターゲットに欧州拠点設立を目指します
また国際業界標準や認証(例えば北米UL、欧州CEなど)の取得・遵守にも力を入れており、製品の国際適合性を高めています
韓国・東南アジア企業との提携(後述のHyosung社やBakrieグループとの協業)も国際展開の一環で、各地域の有力企業とのアライアンスで販路を築きつつあります
REPT経営陣は「技術で席を取り、価格で市場を広げる」という戦略を掲げており、このポリシーは国内外を問わず一貫しています