REPT BATTERO(瑞浦能源)詳細調査レポート:海外進出・提携(海外拠点、提携企業、グローバル販売網、顧客分布)

REPT BATTERO(瑞浦能源)詳細調査レポート
海外生産拠点
インドネシアに初の海外電池工場を建設中で、今後は欧州・南米への工場設立も計画されている
インドネシア拠点は青山グループが現地に大規模製錬所を持つことから、ニッケル資源に近接した生産拠点として電池材料調達からセル製造までのバリューチェーンを現地で完結させる構想です
欧州ではドイツなど自動車産業の集積地が候補とみられ、現地政府の補助金(EUのEuropean Battery Alliance関連施策等)も活用しながら進出すると見られます
南米ではリチウム資源国(チリ、アルゼンチン)での展開の可能性や、ブラジルのEV市場参入も注視しています
提携・アライアンス
グローバル市場攻略のため、各地域の大手企業との提携を積極推進しています
例えば2023年、韓国のHyosung Heavy Industries(曉星重工)との間でエネルギー貯蔵分野における協業覚書を締結し、アジア・北米での大型蓄電プロジェクトを共同開拓する方針です
またインドネシアの財閥Bakrie & Brothersとは電気商用車向けバッテリーシステムの戦略提携を結び、同国で3000台規模の商用EVバス・トラックへの電池供給を目指しています
欧州でも自動車メーカーとの直接取引を拡大中で、2024年にはStellantis(欧米合併メーカー、オランダ籍)およびインドの大手自動車メーカーからそれぞれ新型EV向け電池供給プロジェクトを獲得しました
さらに吉利汽車の新EVブランド「Galaxy(銀河)」や東風日産などのプラグインハイブリッド車向け電池供給契約も獲得し、海外合弁の独系(独フォルクスワーゲングループ系)・米系(GM/Ford系)メーカーのハイブリッド車プロジェクトにも電池を提供する予定です
このように国内OEMだけでなく欧米日系OEMとも取引開始できている点は、REPTの顧客基盤が国際的に広がりつつあることを示しています
加えて、定置型蓄電市場では世界的インバータ企業のSungrow(陽光電源)やGoodWe(固德威)、大手太陽光発電企業のGrowatt(古瑞瓦特)などが主要顧客であり、それら企業が欧米・中東・アジアで展開する大規模蓄電プロジェクトにREPTの電池モジュールが組み込まれています
海外販売網としては、中国国内で組み立てた電池モジュールやセルを輸出する形が中心でしたが、上述のように現地生産も組み合わせてサプライチェーンを現地化する動きが進んでいます
顧客分布と販売ネットワーク
顧客ポートフォリオは非常に多様です。EV分野では上汽通用五菱(SGMW)や上汽乗用車(MG/Roewe)、一汽奔騰(Bestune)、極氪汽車(Geely Zeekr)、smart(メルセデス系EV)、Volvo(ボルボ、ジーリーホールディング傘下)など国内外のメーカーに電池を供給し、量産車搭載実績を積んでいます
特に五菱のミニEV(HongGuang MINI EV)など小型電気自動車向けでは、同社のLFP電池が低コストを武器に大量採用されました
またStellantisとはJeep・Peugeotなど傘下ブランド向けの中国製EVへの供給を開始し、Renaultグループの中国合弁(易捷特新能源、旧eGT)とも提携するなど欧州メーカーへの浸透も図っています
商用車では三一重工(SANY)、徐工集団(XCMG)、宇通客車、吉利商用車、開源芯動力、青拓重工など中国トップクラスの商用EVメーカーと提携し、電気バス・電気トラック・鉱山ダンプなど多様な大型車両に電池システムを供給しています
2024年には同社電池を搭載した新能源(新エネルギー)商用車モデルが122種類も新規登録され、市場シェアを大きく伸ばしました
エネルギー貯蔵分野では前述のように国内外の大手ESSシステム企業が顧客となっており、例えば陽光電源はREPT製セルを購入して自社ESS製品に組み込み海外に販売しています
REPT自身も国際展示会(米国RE+や欧州Intersolar等)に積極出展して直接海外顧客に売り込みを図るなど、販売チャネル拡大に努めています。現状では売上の約30~40%が海外向けと推定され、実質的にグローバル企業としての地位を築き始めています
販売・サービス体制
国際販売を支えるため、海外に現地法人やサービス拠点も設立し始めています
例えば欧州ではドイツに、東南アジアではシンガポールやジャカルタに駐在拠点を設け、技術サポートやリアルタイム対応を行っています
また納入後の電池保守・リサイクルも重要視しており、現地パートナーと連携して使用済み電池の回収・再利用(リユース)を提案するなど、アフターサービス含めたトータルソリューション提供を目指しています
2023年には、創業からわずか6年で中国工信部からEV廃電池の「梯次利用」認定企業の資格を取得し(業界標準のバッテリーリサイクル許可)、設計・製造から使用後まで一貫して顧客を支援できる体制を整えました
これは、販売した電池を最後まで責任を持って回収・再資源化できることを意味し、海外顧客にも環境面で安心感を与える強みとなります
以上のようにREPTは海外展開において、現地生産、現地パートナーとの提携、グローバル販売網の構築、そして使用後リサイクルまで含めた総合力で競争力を高めています