サンウォーダ電子(欣旺达)詳細調査レポート:製品概要(電池種類・性能・用途)
製品ラインナップ
サンウォーダはリチウムイオン電池専業メーカーであり、製品は大きく「消費者向けバッテリー(3C)」「電気自動車(EV)用パワーバッテリー」「エネルギー貯蔵(ESS)システム」に分類される
消費電池はスマートフォン、ノートPC、タブレット、電動工具など向け小型セル・モジュールで、同社はAppleなど大手にも供給しています
EV向けは主に車載用の大型電池セル・バッテリーパックで、ハイブリッド車(HEV/PHEV)から純EV、商用車、さらには電動航空機やドローンまでカバーする製品群です
ESS製品は家庭用から産業・電力網向け大容量ストレージまで手掛けます
電池の種類
主力化学系はリン酸鉄リチウム(LFP)と三元系リチウム(NCM)となります
四角形アルミケースのプリズマティックセル技術を得意とし、最近では大径円筒セル(4680型相当)やラミネート(パウチ)セルの開発にも注力しています
さらにナトリウムイオン電池や全固体電池といった次世代電池にも研究開発を進めています(詳細は後述)
主要製品の性能
同社のEV電池は高充電性能と高エネルギー密度を強みとしています
例えば「フラッシュチャージバッテリー」は6Cの超高速充電に対応し、EVを10分で500~700km走行分充電可能な性能です
2023年2月にVersion1.0の量産を開始し、既に第三世代まで進化している
エネルギー密度では、リン酸鉄リチウム系の「星時池」バッテリーで体積エネルギー密度450Wh/Lを達成し長航続を実現しています
低温性能にも優れ、-30℃からのコールドスタートに対応し、世界初の低温パウチ電池(-20℃でのパルス放電対応)も開発しました
大型蓄電用途には625Ahという超大容量セルを開発し、5年間劣化ゼロ(容量維持率100%)の長寿命を実証しています
安全性についても、ナトリウムイオン電池では-40℃でも80%以上容量を維持し、穿刺にも発火しない高安全性を示します
同電池のエネルギー密度は約160Wh/kgで、小型EV(A00~Aセグ)やハイブリッド車向けとして2024年第3四半期から量産予定です
用途別展開
消費電池事業ではスマホ・PC用電池で世界トップクラスのシェアを持ち、電池セルからモジュール、BMS(バッテリーマネジメント)まで一貫供給します
EV向け電池は乗用車(SUV・セダン等)からバス・トラック等商用車、鉄道、さらにはeVTOL(電動航空機)領域にも提案を進めているようです
実際、中国国内で同社の電池を搭載した人気EVモデルが複数量産され、海外でも日産のe-POWER車向け電池を共同開発するなど自動車OEMとの協業実績があります
エネルギー貯蔵分野では北米・欧州・日本・中東・豪州など海外で大型案件を多数受注し、高エネルギー密度な液冷式屋外蓄電システム(261kWh)やモバイル蓄電車両(2MWh容量)を商品化しています