リチウムイオン電池の基礎理論と性能評価の技術について2
正極および負極
現在のLIBの正極活物質は、初期のコバルト酸リチウム(LiCoO2)から始まり、モノマト酸リチウム・ニッケル・マンガン酸リチウム(Li(Ni-Mn-Co)O2)
ニッケル酸リチウム、ネオジム酸リチウムフェート素材(LMO)、オリビン型リン酸鉄リチウム(LiFePO4)が主流となっている。これらの特徴を下記に整理する。
(2) 三元系は、高容量および高電圧を特性とし、2000年に米国、日本で商用開始となったものが多数存在する。
この材料は、放電容量を増やすことは容易だが、使用環境が広がるとともに、安定性にあるため、現在では運転車用の用途だけでなく、HV、EV用の用途、そしてLIBで使用されている。
(3) ニッケル酸リチウムは、高容量化および高電圧を達成することができるが、化学反応性を理由に商用化の障壁となっている。しかし、コバルトやアルミニウムを添加する事で安全性の向上につながった
(4) マンガン系は分子構造が三元系などと比較し安定している。安価で安全性が高く大容量の充放電にも適している事からHV/PHV用として採用された経緯がある
内部抵抗が低く、高出力、高容量 高温化での充放電でも優れた特性が示されている
(5) リン酸鉄リチウム
安定性に優れる鉄を使用しているため燃えにくく、放電特性が優れている。安価で環境負荷が低い
過充電、過放電制御が容易なため中国製の電池が国内では多く出回っているが、出力電圧3.2Vとエネルギー密度が低いため車載用としてはリチウムイオン電池と比較し適していない
ただ安全性がリチウムイオン電池より高いため、太陽光発電とセットで産業用、住宅用蓄電池、UPSなどの非常用蓄電池に向いている