中国の主要リチウムイオン電池メーカー 1. CATL (寧徳時代新能源科技 / Contemporary Amperex Technology Co., Ltd.)
企業概要: CATLは2011年創業の中国福建省を本拠地とする企業で、世界最大のリチウムイオン電池メーカーです
2023年にはEV用車載電池の世界市場で約37%ものシェアを占め、第2位以下を大きく引き離しました
中国国内でも2024年には装車電池(EV搭載電池)のシェアが45.1%に達し、断トツの首位となっています
もともと日本TDK傘下のATL社(消費者向け電池メーカー)の車載電池部門が独立してできた経緯があり、その技術力と大規模投資を武器に急成長
2017年にはパナソニックを抜いて世界トップになりました
主な製品: CATLはEV向けの高性能電池を主力とし、リン酸鉄リチウム(LFP)電池とニッケルコバルトマンガン系(三元系/NCM)電池の両方を生産しています
特に近年は低コストで安全性の高いリン酸鉄リチウム(LFP)電池技術をリードし、セルを直接パックに組み込む「セル・トゥ・パック」技術や、2022年発表の第3世代「麒麟電池(Qilin Battery)」でエネルギー密度と冷却性能を高めました
また2023年8月には4C超高速充電に対応した新型LFP電池「神行(Shenxing)」を発表し、10分程度で80%充電が可能と発表されています
EV以外にも、大容量の定置型エネルギー貯蔵システム(ESS)向け電池市場でもCATLは世界トップであり、2024年にはエネルギー貯蔵用電池の年間出荷量が約110GWhに達したと報じられています
一方で、CATL自体はコンシューマー機器、スマートフォンなど小型機器向け電池事業はなく同社の前身であるATL社がその分野で世界トップクラスとなります
主な顧客・提携先はCATLの電池は中国・世界の幅広い自動車メーカーに採用されています
中国国内ではTesla(上海工場製モデル3/Yの標準レンジ車にCATL製LFP電池を搭載)、NIO(蔚来)、Li Auto(理想)、XPeng(小鵬)など新興EVメーカーのほか、広汽(GAC)や一汽紅旗など大手国産メーカーとも取引があります。また海外メーカーとも次々と提携し、BMWやVolkswagen、Mercedes-Benz、Honda、フォードなどにEV用電池を供給・協業しています
BMWとは創業翌年の2012年に戦略的提携を結び、VWとは中国市場向けに合弁工場計画を進めています
またTeslaとは上海工場向けに大口供給契約を締結し、アメリカでも提携(フォードとの米国合弁計画)を模索しました
最近の動向としてCATLは国内外で積極的な設備投資と研究開発を続けています
欧州(ドイツ・エルフルト工場)や北米にも生産拠点を拡大しつつあり、サプライチェーンの現地化を進めています
技術面では先述の超高速充電対応電池や、ナトリウムイオン電池の開発も発表しました。電池リサイクル事業にも注力しており、使用済み電池の回収・再利用で先行しています
こうした大胆な経営戦略と技術革新により、CATLは2022年時点でEV用電池世界シェア6年連続1位を達成し今後も「強者必強」の傾向が続くと見られています