中国の主要リチウムイオン電池メーカー:CATL(寧徳時代)の最新の経営状況1
財務状況と成長率
CATLの業績は近年急成長しており、直近の2023年通期決算でも堅調です
2023年の売上高は前年比22.0%増の約4,009億元(約8兆2,833億円)、純利益は同43.6%増の約441億元(約9,115億円)と大幅な増収増益を達成しました
売上高成長率(+22%)に対し純利益成長率(+43%)が上回っており、利益率の改善が見られます
実際、主力のEV車載電池事業の販売量は321GWhと前年比32.6%増加しながらも、原材料高騰を販売価格へ転嫁したことで利益率を押し上げた模様です
こうした好調な業績を背景に営業キャッシュフローも潤沢で、2023年の営業CFは約928億元のプラスとなり、手元資金の豊富さを示しました
同年の研究開発投資も前年155億元から184億元へ増額していますが、なお財務的な余裕を維持しています
負債面についても大きな懸念はなく、自己資本比率の高さや巨額の手元資金(2024年6月末時点で現金残高2,550億元)から見て財務体質は健全と評価できます
図: 2024年における世界のEV用バッテリー市場シェアを示す
CATLが約37.9%で首位となり、BYD(約17.2%)やLGエナジーソリューション(約10.8%)を大きく引き離している
他のメーカーは全てシェア一桁台(各社5%未満)にとどまっており、CATLの独走体制が際立つ
CATLは世界シェア首位の座を維持しており、その規模は競合を大きく上回っています
韓国SNEリサーチの調査によれば、2024年(1~11月累計)のグローバルEV用電池搭載量シェアはCATLが36.8%でトップとなり、第2位のBYD(17.1%)や第3位のLGエナジーソリューション(11.6%)に対して二倍以上の差をつけています
これはCATL一社で世界市場の約4割を占めている計算で、圧倒的な存在感を示しています
特に中国国内市場ではCATLのシェアはやや変動があるものの依然として最大であり、2023年は43.1%(前年48.2%から低下)でしたが、2024年には45.1%まで回復しています
主要顧客にはテスラなど国際的メーカーが含まれ、2023年はテスラ向けだけで売上全体の12.5%を占めました
またCATLはリチウムイオン電池の主要な化学系統である三元系(NCM系)とリン酸鉄系(LFP系)の双方で首位に立っており、いずれの分野でも高い競争力を維持しています
このような市場ポジションから、CATLは競合他社に対し依然リードしているといえます。