CALB(中创新航科技)の概要:工場概要

CALBは中国国内に多数の生産拠点を構え、近年は海外にも進出しつつあります
中国国内では現在主要な7拠点で電池セル生産を行っています(2024年時点)

拠点は常州(江蘇省)、成都(四川省)、武漢(湖北省)、江門(広東省)、厦門(福建省)、合肥(安徽省)、眉山(四川省)で、これらの総計画生産能力は約200GWh/年に達します
例えば、四川省成都の工場は第1期で20GWh規模が2022年に稼働し、第2期工事が2025年3月に着工されました
第2期には約120億元を投じて30GWhの能力増強が図られ、2026年第2四半期から稼働予定です

成都基地はEV車載電池とESS電池の統合生産拠点であり、第2期はグリーンでデジタル化された最新鋭設備を導入した「次世代標杆工場」となる計画です
同様に、福建省厦門でも30GWh規模の高性能電池工場が2024年2月に起工されました

他の拠点について公表ベースの具体的な数字は少ないものの、常州(金壇区)はCALB創業の地で研究開発センターも併設、武漢や合肥でも大規模量産体制を整えています
広東省江門拠点(新会区)は2021年に発表された計画によれば20GWh級、四川省眉山でも20GWh級が計画されており、これらを含めて2025年までに計500GWh、2030年には1TWhという野心的な目標も掲げています

もっとも実現には需要動向次第の面もあり、実際の進捗に沿って柔軟に拡張を進める戦略とみられます
海外展開としては、まず東南アジアのタイに進出しました。CALBは2024年1月にタイ・ラヨーン県で現地法人を設立し、生産拠点(CALB Thailand Co., Ltd.)を開設しています

タイは自動車生産ハブであり、現地の日系含む自動車メーカーへの電池供給や、ASEAN域内向け電池生産拠点として位置づけているものと考えられます
た欧州市場向けには、ポルトガル南部シネス(Sines)に大規模工場を建設中です。投資額は約20億ユーロ(約2,800億円)にも上り、年産15GWhの車載電池を生産予定です

2025年末の一部稼働開始を目指していましたが、最新情報では2027〜2028年頃に生産開始と報じられています
シネス工場は約1,800人の雇用創出見込みで、フル稼働時にはポルトガルGDPの4%以上を占める規模になるとの試算もあります

欧州では地元のリチウム資源を活用しバッテリーの内製化を進める動きがあり、CALBもこの流れに乗り込む形です
シネス工場は再生可能エネルギー活用による「ゼロカーボン」工場となる計画で、環境面にも配慮されています

以上のように、CALBは中国国内に分散した生産ネットワークを持ち、各地で最新設備への投資を続けています
スマート工場化やデジタル技術の導入も推進しており、製造ライン自動化により生産効率と品質向上を図っています
例えば先述のU型構造セルでは溶接装置台数を従来比30%まで削減する効率的なラインを実現しています

環境対策の面でも、工場ごとの環境負荷低減や再エネ利用などESGに即した設備投資を強化しています
各拠点は地域経済への寄与も大きく、地元政府との協調により立地・拡張が進められています
今後も需要拡大に合わせて国内外での生産能力増強計画が控えており、CALBの供給体制はさらに拡大・国際化していく見通しです