CALB(中创新航科技)の概要:製品展開と競合比較

製品用途別の展開
CALBの電池製品は主に電動モビリティ(EV/HV)向けとエネルギー貯蔵システム(定置用)向けに供給されています
とりわけEV向けでは、中国国内で累計200万台以上の車両にCALB製バッテリーが搭載され、累計出荷量は100GWhを超えています
2024年には新たに25車種の車両に採用され、市場での存在感を高めました

主要顧客としては、広汽埃安(GAC Aion)を筆頭に、小鵬汽車(Xpeng)、吉利汽車(Geely)、長安汽車(Changan)、蔚来汽車(NIO)零跑汽車(Leapmotor)など中国の新興EVメーカーから伝統自動車メーカーまで幅広くカバーしています
特に2023年にはXpengの新型SUV「G6」やGAC Aionの「Hyper GT」にCALB電池が採用され、小鵬における最大の電池サプライヤーに浮上したとの報道もあります

またSUVやトラックなど商用車分野では、東風汽車や福田汽車、大型バスの金龍客車などにも採用が進み、2024年は商用車向けの年間新規搭載量が前年比150%増という急成長を遂げました
エネルギー貯蔵システム(ESS)分野でもCALBの電池は存在感を高めています。2024年には単月で5GWh超の貯蔵用セル出荷を達成するなど需要が拡大し、同年のグローバル出荷量ランキングで世界5位に入るまでになりました

特に太陽光発電大手の**陽光電源(Sungrow)とは戦略提携を結び、サウジアラビアの大規模プロジェクト(7.8GWh)や欧州向け案件(4.4GWh)など合計12.2GWh分の大型受注を獲得しています
このように、定置型の再生可能エネルギー蓄電市場でもCALB電池の採用が広がっています

さらに、国際市場でのプレゼンス拡大にも注力しており、日本や欧米の完成車メーカーとの協業も進み始めています
CALBはトヨタ、ホンダ、フォルクスワーゲン、アウディといった国際的ブランドからバッテリー供給候補(ノミネーション)に選定される成果を挙げており、今後それらメーカーのEVモデルにCALB電池が搭載される可能性があります

またハイブリッド車向けにも進出しており、吉利や零跑と新型HVプロジェクトで協業、奇瑞やBAICなど複数メーカーのHV車に電池を供給し始めました
このようにCALBの市場は中国内に留まらず、グローバルな車載・産業分野へと着実に拡大しています

競合製品との比較
世界の車載用リチウムイオン電池市場において、CALBはCATL(寧徳時代)やBYDなどのリーダー企業に比べ規模は小さいものの、技術革新と価格競争力で存在感を示しています。以下の表に主要競合との比較を示します。

メーカー 世界シェア(2024) 主要電池種類・技術 特徴・強み
CATL (中国) 約37.9%(世界首位) LFP, NCM/NCA 他(キリン電池など高集積化) 生産能力最大規模、幅広いOEM供給網
BYD (中国) 約17.2%(世界2位) LFP(ブレード電池), NCM 他 EV完成車と内製電池の垂直統合、低コスト大量生産
LGエナジーソリューション (韓国) 約10.8%(世界3位) NCM/NCA(パウチ型中心) 高ニッケル高容量セルで強み、グローバル拠点多数
CALB (中国) 約4.4%(世界4位) LFP, NCM;Naイオン・全固体も開発中 中国国内3位 OS電池プラットフォームやU型セルなど技術革新志向

世界シェアはSNEリサーチによるEV用電池搭載量ベース
上位のCATLとBYDで世界シェアの55%超を占めており、CALBはその後方につける挑戦者です
CATLやBYDが巨額投資による生産拡大と高性能電池で市場をリードする一方、CALBは積極的な価格戦略とニッチ市場攻略でシェアを伸ばしてきました
実際、CALBの電池単価は規模が上のCATLより低く、規模が劣る他社(例えば孚能科技/Farasis)よりも低いという分析があり、安価な価格設定が販売拡大の原動力でした

しかし近年はCATLとの価格競争激化で利益率が圧迫され、技術差別化による付加価値向上が課題となっています
それでもCALBは国内トップ3(2023年中国シェア約8.5%)を維持しており、中堅の国軒高科(Gotion)や億緯鋰能(EVE)などより依然リードしています

また特許戦略にも注力し約3,800件もの特許を保有するなど、知的財産面で防御を固めつつ技術力で差別化を図る戦略です