中国の主要リチウムイオン電池メーカー 3. CALB (中創新航科技 / China Aviation Lithium Battery Technology)

中国の主要リチウムイオン電池メーカー 3. CALB (中創新航科技 / China Aviation Lithium Battery Technology)
企業概要: CALBは2015年に設立された比較的新しい電池メーカーで、中国江蘇省に本拠を置きます​

社名は「中航鋰電」とも略称され、もともと中国航空工業集団系列の企業としてスタートしました
急成長により2020年代に頭角を現し、現在ではCATL・BYDに次ぐ中国第3位の車載電池メーカーです​

2023年にはEV用電池の世界シェア約4.5%を占め​、中国国内ではシェア6~7%で3位となっています​

CALBは2022年に香港市場へのIPO(新規株式公開)を果たし、調達資金で積極的な工場増設と海外展開を進めています​

主な製品・用途: CALBは乗用車向けの動力用電池セルとバッテリーパックを主力製品としています
角型の三元系(NCM)電池セルで高エネルギー密度を実現した製品に強みがあり、高性能EV向けの大容量電池を供給しています
またリン酸鉄リチウム(LFP)電池の開発・生産も行っており、コスト重視の普及モデル向け電池も展開しています
CALBは電池パックの設計にも独自技術を持ち、「U字型電池」構造などエネルギー密度と安全性を両立するパック技術を発表しています

用途別には、乗用車EV用が中心ですが、一部商用車・バスやエネルギー貯蔵システム向けプロジェクトにも電池を提供し始めています

主な顧客・提携先: CALBの電池は、中国のさまざまな完成車メーカーに採用されています
主な顧客としては、新興EVメーカーのNIO(蔚来)Xpeng(小鵬)理想汽車(Li Auto)哪吒汽車(Hozon/哪吒)零跑汽車(Leapmotor)などが挙げられます​

自動車メーカーでは長安汽車広汽埃安(GAC Aion)吉利汽車(Geely)などにも電池を供給しています​
特に広汽埃安とは早くから取引があり、2022年時点ではCALB出荷量の約半分が広汽向けでしたが、近年は他社向け比率が増えています​

海外では、欧州のバス向け電池メーカーForsee PowerやドイツBMZ社との提携を通じてCALBセルがバス・トラック用途に使われ始めています​

さらにClarios社(自動車用鉛電池最大手)とも提携し、12V車載電池のリチウムイオン化分野で協業しています​

最近の動向: CALBは国内で生産能力を急拡大するとともに、海外進出を加速しています
ヨーロッパでは2022年にポルトガル政府と工場建設に関する協定を結び、初の海外生産拠点設立を進めています

また東南アジアや北米にも進出を計画中です
技術面ではエネルギー密度300Wh/kg超の新型セル開発や、全固体電池コンソーシアムへの参加など次世代電池にも取り組んでいます
業績面ではEV市場拡大に伴い売上・利益が急伸しており、2024年には前年の2倍近い純利益を見込むとの報道もあります​

CATLによる特許権侵害訴訟を受けるなど競争は激しいものの、CALBは「挑戦者」としてシェア拡大を目指しています。