中国の主要リチウムイオン電池メーカー 7. 欣旺达 (Sunwoda Electronic Co., Ltd.)
市場ポジション・概要: 欣旺达(Sunwoda)は、2008年に深圳市で創業した電池メーカーです(前身企業の設立は1997年)
もともとは携帯電話やノートPC向けの小型リチウムポリマー電池パック事業で成長し、中国スマートフォン市場の勃興に乗って大きく業績を伸ばしました
近年になってEV用電池事業(欣旺达電動汽車電池公司)に本格参入し、現在では車載電池装車量で中国国内トップ10内に入る規模まで拡大しています
2024年上半期時点で国内シェア約3%前後、ランキング第7位となっています
スマホ電池大手から車載電池プレーヤーへ華麗に転身しつつある企業です
主な製品・用途: Sunwodaの従来主力製品はスマートフォン用リチウムイオン電池パックです
Huawei、OPPO、Xiaomiなど中国主要スマホメーカーに電池モジュールを供給し、一時は世界シェアでATL(TDK)に次ぐ地位にありました
現在でも電子機器用電池が重要な事業ですが、同社はハイブリッド車/EV用バッテリーパック事業(EVB事業部門)を急拡大させています
特にHEV(ハイブリッド車)向け電池を得意としており、中国メーカーのHEVに多数採用されているとされています
製品形態としては、他社製セルも活用しつつ自社で電池モジュール・パックを組み上げる形が多いですが、最近では自社でLFPやNCMセルの量産も開始しました
用途別には、乗用車のEV・PHEV・HEV向け電池パックが成長分野で、同社の新たな収益柱になりつつあります
加えて、民生機器向け電池(スマホ、ノートPC、電動工具など)が依然として売上の大きな割合を占めます
主な顧客・提携先: Sunwodaの車載電池事業は、複数の有力自動車メーカーとの取引実績を築いています
中国では東風汽車との関係が深く、東風ホンダのハイブリッド車向け電池や、東風自主ブランドEVの電池を供給しています
また新興勢力では、EVスタートアップの小鵬汽車(Xiaomi Auto)が2024年以降に発売予定のEVにSunwoda製電池を採用予定であるほか、理想汽車(Li Auto)の新型レンジエクステンダーSUV(Li L7/L8など)の一部車種にも供給すると報じられています
高級EVブランド極氪(ZEEKR)からは優秀サプライヤー賞を受賞した実績があり、極氪車両向けにも電池パックを提供しています
国外では、日産自動車・ルノー連合と協業しており、中国市場向け日産車(シルフィEVなど)の電池供給や、ハンガリーにおけるバッテリーパック組立工場の運営を行っています
さらに欧州新興EVメーカーなどとも接触を図っているとみられます
民生用電池の主要顧客としては、Apple(一部iPhoneのバッテリー受託生産)、Dell/HP(ノートPC用)や中国スマホ各社が挙げられます
最近の動向: Sunwodaは車載電池部門の独立資本化を進めており、2023年には子会社「欣旺达電動汽車電池」が中国STAR市場でのIPO手続きを開始しました
これは調達資金を電池生産拡大に投じる狙いで、今後さらなる供給能力アップが見込まれます
技術面では、セルtoパック技術やBMS(バッテリーマネジメントシステム)開発に注力し、電池の高安全・長寿命化をアピールしています
特にハイブリッド車用電池で培った高出力密度・耐久性のノウハウをEV用に転用するとしています
また、2024年には小米汽車(シャオミー)向けの車載電池大量生産が控えており、新工場の立ち上げが進行中です
消費者向け電池事業でも、電動工具やスマート家電向け新電池の開発で業容拡大を図っています。Sunwodaは「電池三小虎」(新興電池メーカー3社:欣旺达・瑞浦・正力)の一角とも称され今後の成長が期待されています。