中国の主要リチウムイオン電池メーカー 8. 瑞浦能源 (REPT Battero)

中国の主要リチウムイオン電池メーカー 8. 瑞浦能源 (REPT Battero)
市場ポジション・概要: 瑞浦能源(REPT BATTERO)は、2017年に設立された中国の新興電池メーカーです
ステンレス大手の青山実業(Tsingshan Holding)が出資する形で誕生し、浙江省温州市に本社を置きます
社名の「瑞浦」は社史によればRapid、Efficient、Powerful、Technologyの頭文字から取られています
比較的新しい企業ながら、商用車・エネルギー貯蔵向けに実績を積み、2023年には同社の電池搭載量が世界6位となるまで成長したと報じられています​
特にエネルギー貯蔵用電池では世界4位の出荷量を誇り、業界で存在感を示しています​
中国国内の車載電池シェアでも上位8位程度につける規模です​

主な製品・用途: REPTは主にリン酸鉄リチウム(LFP)電池のセルとバッテリーパックを製造しています
大型の角型LFPセルを得意としており、乗用車よりも商用車(バス・トラック)や定置型エネルギー貯蔵システム向けに強みを持ちます
もちろん乗用車EV向けの電池パックも開発しており、一部のSUV・MPV電動モデルに採用例があります。製品技術としては「弯刀電池(Wending Battery)」という次世代セルを開発中で、280Ah級の大容量セルでエネルギー密度と安全性を両立することを目指しています​
用途別では、エネルギー貯蔵用途が顕著で、大型蓄電プロジェクト向け電池モジュールを多数供給しています
また商用車(物流トラックやバス)向けにもLFP電池システムを提供し、これらが同社出荷の大部分を占めます。乗用車向けは今後の拡大分野です。

主な顧客・提携先: REPTの顧客にはエネルギー業界や商用車メーカーが多く含まれます
エネルギー分野では、米国の革新的蓄電スタートアップEnergy Vaultと10GWhに及ぶ大型供給契約を結び、重力蓄電設備向けに電池を提供しています​
またオーストラリアのWaratah Super Batteryプロジェクトでは主要電池サプライヤーを務めるなど、海外の大規模蓄電案件で採用されています​
中国国内でも、国網系の大規模蓄電所や阿里巴巴のデータセンター用蓄電システムに電池を供給した実績があります
車両用途では、上汽大通(商用バン)東風汽車(一部EVバス)などがREPT製電池を採用しています
さらに乗用車では広汽のEV試作車に搭載例があるほか、最近では欧州の新興EVメーカーとも商談を行っていると報じられます
北米市場開拓にも意欲を示しており、2024年に米カリフォルニア州アーバインに北米支社を開設しました​

最近の動向: REPTは堅実な経営戦略で成長している点が特徴です
同社は「闇雲な生産能力拡大は資産ではなく負担になり得る」として、生産能力を需要に見合った範囲で慎重に拡大してきました​
その結果、工場の稼働率が高く保たれ、製品品質とコスト管理に強みが出ています​
現在、中国国内の温州、嘉興、柳州、仏山、重慶など各地にグリーン電池工場を建設・稼働させ、2025年までに総計150GWhの年産能力を目指す計画です​
海外では前述の北米拠点開設に続き、東南アジアやヨーロッパでの生産拠点設立も検討中です​
技術開発面ではLFP電池の性能向上に加え、三元系や新材料電池にも研究を広げています。まだ未上場ですが、将来的な資本市場での資金調達も視野に入れているとされています
総じてREPTは、エネルギー貯蔵需要の世界的増大を追い風に、着実に事業規模を拡大している注目企業です。