BYD(比亜迪股份有限公司)の工場の概要(中国国内生産拠点と最新技術)
■ 工場所在地(中国国内)
BYDは中国国内に多数の電池生産拠点を擁する
主要なバッテリー工場は広東省深圳・惠州(本社周辺)貴陽、青海省西寧、湖南省長沙、安徽省蚌埠、山東省済南、吉林省長春など各地に分散している
2021年時点で既に中国国内11ヶ所で電池工場の稼働・計画があり、総計200GWh超の年産能力を計画していた
その後も新規投資が相次ぎ、例えば浙江省温州では年産20GWhの新工場を2024年稼働予定で建設中、長春では第一汽車(FAW)との合弁で15GWh規模のブレード電池工場が稼働開始したとの報道がある
特に重慶市璧山の工場はBYD初の大型電池専用工場で、総投資100億~180億元規模・年産20GWhのブレード電池ラインが整備されている
同工場は高度なクリーンルーム環境と自動化設備を備え、微細粒子の管理や湿度0.05%以下の乾燥工程など液晶パネル並みの厳格な品質管理体制を敷いている
約1メートルの電極シートを±0.3mm以内の精度で高速積層するプロセスなど、製造装置もBYDが独自開発した最先端技術が投入されている
このような内製設備と高度自動化により、生産効率と品質向上を両立している
さらにBYDは電池リサイクルにも注力しており、上海や広東に年1.3GWh処理能力のリサイクル工場を設けて使用済み電池から資源回収を行っている
各工場の生産能力は公表ベースでは重慶(20GWh)や西安(20GWh)、長春(15GWh)などが代表例である。他にも貴州(遵義)や湖南などで数十GWh規模の工場計画が報じられており、BYD全体の電池年産能力は2024年時点で200~300GWh規模に達していると推定される
実際、2024年の世界EV向け電池出荷量でBYDは約154GWh(世界シェア17%)を供給しており、それに見合う生産能力を備えているとみられる
■ 最新技術・設備導入
BYDの電池工場では独自開発の生産設設備として重慶のブレード電池工場では、クリーンルーム内の微粒子レベルを髪の毛の1/20(5マイクロメートル)以下に保つなど極めて厳しい環境基準を維持していることで電池セル品質と安全性を高めている
また電池セル積層工程では0.3秒/枚という高速で電極シートを精密に積み上げる世界初の装置を実現し、大量生産時にも均質なセル性能を確保している
BYDはこれら設備の大半を自社開発しており、製造ノウハウが他社に流出し一部新工場ではAIを活用した検査システムや、エネルギー効率の高い生産ラインも導入されている
総じて、最新技術・設備への積極投資によって品質・生産性・安全性を高水準で両立すしている