国軒高科(Gotion High-Tech):工場概要

国軒高科は中国国内に複数の生産拠点を持つほか、近年は海外にも積極的に製造拠点を展開している
同社は2025年までに総生産能力300GWh超を目指す計画を掲げ、スマート製造技術を導入した最新工場の建設を進めています
主要な工場所在地と生産能力・計画を以下に記載

中国国内
本社のある安徽省合肥市を中心に、生産拠点を全国展開している
2021年時点で江西省宜春、安徽省肥東、同桐城、合肥新站などに4つの大型生産基地を建設し、合計50GWhの能力増強を図りました
2023年時点で中国国内シェアは約5%台ですが、各拠点の増強により国内供給能力を拡大しています。
最新設備としてAIやIoTを活用したスマート工場化が進められ、効率的なセル生産・パック組立を実現している
また、内モンゴル自治区乌海市(ウハイ)には世界初のゼロカーボン陰極材料工場を建設し、製造工程の脱炭素化にも取り組んでいます

中国国内の主要工場一覧は公表されていませんが、安徽省・江西省を中心に複数拠点で総計数十GWh規模のセル生産能力を有している

米国
シリコンバレー(カリフォルニア州フリーモント)工場では、2023年末に米国初のバッテリーパック製品の生産を開始しました
この工場は住宅用・産業用エネルギー貯蔵(3~30kWh規模)の電池パック製造に特化し、年間1GWhの生産能力を持ちます
また、イリノイ州マンテノに最先端の大型工場を建設中で、投資額20億ドル規模、敷地面積150エーカーに及ぶ大プロジェクトです
マンテノ工場は完成すれば年間40GWhのセルと10GWhのパックを生産可能な計画で、EV用セルから蓄電システム用大型バッテリーコンテナまで製造します
同工場はアメリカ イリノイ州政府の誘致支援(インセンティブ総額5.36億ドル)を受け、2024年内の生産開始を目指している
さらにミシガン州でもEV電池工場を建設中であり、こちらも大規模拠点として開設予定です
米国展開により北米の自動車メーカーやエネルギー企業への供給体制を強化し、「Made in USA」による現地調達ニーズに応えようとしています

ヨーロッパ
フォルクスワーゲンの本拠地である欧州でも生産展開を図っている
ドイツ・ゲッティンゲン(Göttingen)には2023年に新工場を開設し、同年9月に初のバッテリーパックを生産しました
この工場はVW向けのパック供給拠点とみられます
また、スロバキアでは現地企業InoBatとの合弁で大規模工場を計画中
2024年12月発表によれば、スロバキア西部シュラニ市に年間20GWhのセル工場を建設予定で、総投資額は12.34億ユーロに上ります
スロバキア政府からは2.14億ユーロの支援(補助金1.5億・税控除0.64億)も承認されており、2027年1月の生産開始を目標に段階的に建設が進められます
さらにモロッコでも年産20GWh規模の電池工場建設計画があり、ラバト地域にて最大12.8億ユーロを投じたプロジェクトが進行中です
2023年6月にモロッコ政府と投資協定を結び、地元機関から3億ユーロの出資支援も取り付けています
モロッコ工場は2026年頃の稼働開始を視野に、ヨーロッパ・アフリカ市場向けの供給拠点となる予定です

その他の地域
南米アルゼンチンでは、フフイ州の州企業JEMSEと提携し、電池素材であるリチウム炭酸リチウムの精製プラントを建設します
年1万トンの生産能力を持つ計画で、現地の豊富なリチウム資源を調達する戦略です
アジア太平洋地域では、ベトナムに生産拠点を設置し東南アジア市場を開拓中です
さらにマレーシアにも電池パック組立工場を新設予定と伝えられ、東南アジアでのプレゼンス拡大を図っています
日本国内では筑波にR&D拠点がありますが、大規模生産拠点は未だありません

ドイツ・ゲッティンゲンの新工場におけるバッテリーパック生産ライン(2023年9月)
フォルクスワーゲンとの提携の一環で開設され、年産1GWh規模の生産能力を持つ

国軒高科はこのような海外工場を含め、2025年までに20箇所以上の海外生産拠点を展開する計画である
以上のように、国軒高科は国内外で積極的な工場展開と設備投資を行っている
最新のスマート製造技術や自動化によりコスト削減と品質向上を両立し、拡大する需要に対応する体制を整えています
2024年時点で既に米国・欧州・アジアに10拠点以上の生産ネットワークを構築済みであり、将来的には地域別事業ユニット(中国、アジア太平洋、米州、EMEA)の下、世界各地で生産・供給を行う体制を目指しています