国軒高科(Gotion High-Tech):ESG戦略と取り組み

国軒高科は環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組みを企業戦略の重要項目としています
特に環境面では、2040年までにカーボンニュートラル(温室効果ガス実質排出ゼロ)を達成することを目標として公式に宣言している
2023年の年次報告で初めてこの2040カーボンニュートラル戦略を明示し、生産拠点のゼロカーボン化やグリーン物流の拡大、再生可能エネルギー利用の促進といった具体策を打ち出した

環境(environment)への取り組み
生産工場での再生可能エネルギー利用を積極化しており、2023年には太陽光発電により4,965万kWhの電力を自社調達しました(前年比+26.7%)
また前述の通り、内モンゴル自治区に世界初のゼロカーボン陰極材料工場を建設し、製造プロセスからのCO2排出削減に挑んでいます
エネルギー消費効率の改善も著しく、製品1kWhあたりの工場消費電力は2023年に35.2kWhとなり前年より10.9%低減した
また製品1kWhあたりのGHG排出量も85,060g-CO2eと、前年から6,940g削減し低減傾向を示しています
こうした省エネ・排出削減の成果は、11の主要子会社で152件の省エネ・カーボン削減プロジェクトを実施したことによるもので、年間9,562万kWh相当のエネルギー節約効果がありました
さらにデジタル技術をエネルギー管理に応用し、6つの工場でエネルギー管理システムを稼働させることで使用効率を高めています

国軒高科は電池リサイクル事業にも乗り出しており、材料循環による環境負荷低減を図っています
年間5万トンの廃電池と1万トンの極板スクラップを処理できるリサイクル能力を整備し、電池構成要素の92%以上を回収・再資源化する技術を確立しています
これは業界でもリードする水準であり、使用済み電池からリチウムやニッケル等の有価金属を回収して再利用することで、資源の有効活用とCO2削減に貢献しています

社会(society)・ガバナンス(Governance)への取り組み
国軒高科は従業員や社会に対する責任も重視しています
従業員には安全で公平な労働環境を提供し、研修やスキルアップ支援を行い、地域社会に対しては、貧困地域への扶助や教育支援など公益活動にも参加しています
またコーポレートガバナンスの面では、取締役会における独立取締役の選任や監査体制の整備など、上場企業としての透明性と説明責任を確保しています
VWをはじめ海外株主もいるため国際標準のガバナンスを取り入れており、ESG報告書を毎年発行して進捗を公開しています

2023年にはESG報告書を年報と同時にリリースし、上述したカーボンニュートラル目標や実績値を明示しました
この中で、サプライチェーン全体での炭素削減も推進する方針を示しています
たとえば調達先にも再エネ利用や低炭素材料の採用を促し、グリーン調達比率を高めています。物流面ではEVトラックの導入や輸送効率化で排出削減に取り組んでいます
製品面でも電気自動車や再エネ蓄電で社会の脱炭素化に貢献できるよう、性能向上とコスト低減に努め普及を後押ししています

これらのESG努力が評価され、2022年には中国自動車電池産業イノベーション連盟から持続可能性に関する表彰を受け、2023年にはVWグループからバッテリーサプライヤー表彰も受賞しています
国軒高科は今後もESG経営を深化させ、「緑色能源を普及させ持続可能な未来を実現する」という企業ミッションのもと、環境配慮と事業成長の両立を目指しています