国軒高科(Gotion High-Tech):特許戦略と研究開発体制

国軒高科は創業以来、一貫して「技術イノベーションによる競争力強化」を戦略の核としています
その具体策として、毎年売上の10%以上を研究開発費に充当し、知的財産の蓄積に努めています
2023年の研究開発費は27.68億元に達し、前年比+14.57%増と高水準を推移している

結果として、2023年末までの累計特許保有数は1万件以上に上り、当年だけでも新規に1,500件超の国際特許を出願しています
特許は電池材料、セル構造、BMS、製造プロセス、リサイクル技術など電池バリューチェーン全域に及んでおり、国内外での知財戦略を積極展開しています

研究開発拠点はグローバルに配置されており、中国本土の合肥・上海・南京などのほか、米国シリコンバレー(カリフォルニア州)やオハイオ州クリーブランド、日本の筑波、シンガポール、ドイツなどにR&Dセンターを設立しています

各拠点が地域の大学・研究機関との連携や現地採用の専門家により先端技術の開発を進めています
例えば米国クリーブランド研究所ではLMFP電池用の新電解質開発に成功し、高温下での寿命向上に寄与しました

中国国内でも復旦大学との産学ジョイントセンターを2023年に設立し、ナトリウムイオン電池やLMFP材料、熱絶縁材料などの基礎研究を共同で進めています
復旦大学との協業は2022年から始まり、電池用負極・正極や前処理技術、高安全性複合正極材料など複数テーマで成果が出始めています

特許戦略としては、コア技術の特許取得に加えオープンイノベーションも重視しています
上述の大学連携や、BASFなど素材メーカーとの協業、海外スタートアップへの出資(スロバキアInoBat社への25%出資)などを通じて、外部の知見も取り込み自社技術に磨きをかけています
またフォルクスワーゲンとの提携では、VWの持つ車載応用ノウハウと国軒高科の電池技術のシナジーを追求し、統一規格電池の共同開発など知財面でも協働しています
なお、2023年にはBASFと包括的協力のMOUを締結し、電池材料分野での技術共有と新素材適用に向けた共同開発を開始しました
これにより電池用高機能化学材料(高性能電解液や次世代正極材料など)の実用化を加速させる狙いです

研究開発体制の強化により、国軒高科は幾つかの世界初・世界トップレベルの技術成果を生んでいます
前述のLMFP電池セルは世界でも最高クラスのエネルギー密度を誇り、全固体電池試作「Gemstone」も中国メーカーとして先陣を切る成果です
さらに、2021年時点で300Wh/kg級のNCM電池を搭載車両で実証するなど、高エネルギー電池でもCATLやLGに比肩する実力を示しています
超高速充電技術でもCATLの4C充電電池に匹敵する5C対応電池を市場投入しました
これらは強固なR&D基盤と知財戦略の成果と言えます

今後も国軒高科は、高性能・高安全・低コストの電池技術開発を続ける計画です
特に全固体電池の本格商用化、ナトリウムイオン電池の量産、リチウム資源リサイクル技術の高度化といった分野に注力すると見られます
李鎮会長も「技術で市場を拓き、市場で技術を磨く」との信念を示しており、知的財産の獲得と保護を経営戦略の柱に据えています
その結果として、電池業界における国軒高科の技術的地位は確固たるものとなり、国内外のパートナー企業からの信頼を得る原動力となっています