BYD(比亜迪股份有限公司)の工場の概要(海外生産拠点と将来の工場計画)
■ 工場所在地(海外)
BYDは海外にも生産拠点の展開を進めている
電池セル自体の海外生産はまだ初期段階だが、自動車完成車の現地生産と併せて電池パック組立等を行う戦略で各国に進出中である
タイでは2024年7月に東南アジア初となるEV工場(タイ・ラヨーン県)を開所し、年15万台の生産能力で右ハンドル市場向けEVとプラグインハイブリッド車を現地組立している
このタイ工場では車両生産に加え「バッテリーや主要部品の現地組立も行う」とされ、中国からセルを輸送してパック化する拠点となっている
また欧州でも進出を加速しており、ハンガリーに初の欧州工場を建設中(2025年10月稼働予定)、続いてトルコにも2026年稼働を目指す工場計画が進んでいる
これら欧州2工場は合わせて年50万台の生産能力を持ち、EUの対中関税(最大38%)を回避する生産拠点として位置づけられる
さらにBYDはドイツでの工場設立も検討中と報じられ、ハンガリー・トルコに次ぐ「欧州第3の拠点」として検討段階にある
ただし中国政府が対中関税を支持する国への投資抑制方針を示している背景もあり、最終決定は欧州各国の姿勢や既存工場の稼働状況を見極めてからになる模様である
アメリカの政策的ハードルが高いため現時点で工場計画は公表されていない
しかしBYDはカリフォルニア州に電動バス組立工場を有しており、公共交通向けには現地生産も行っている実績や市場規模に応じて、電池セル生産も含めた海外工場網を拡充していく展望である
■ 将来の工場計画
BYDは需要拡大に対応すべく、今後も工場建設・拡張を継続する計画である。中国国内では既存拠点や鄭州などでの電池工場用地取得の噂も報じられている
また海外では前述の欧州・アジア拠点に続き、インドやラテンアメリカでの現地生を予定
会長は「将来的に利益の大半を海外市場から得る段階が来る」としており、それを支える生産ネットワークをグローバルに構築し数年以内に電池年産能力数百GWh規模への拡大を視野に入れていると見られ、市場動向次第で更なる大型投資がなされる可能性が高い