EVE Energy(惠州億緯鋰能)詳細調査レポート:工場の概要(所在地・生産能力・スマート製造技術導入状況)

主要生産拠点
本社のある広東省恵州市をはじめ、中国国内に多数の工場を展開
最大規模の拠点は湖北省荊門市の工場群で、段階的拡張により2023年時点で年間152.6GWhの生産能力に達しました
この荊門拠点では円筒型LFP電池や角型NCM電池を大量生産しており、電動工具から乗用車まで幅広い用途に供給しています

四川省成都市にも大規模な製造・研究開発拠点を建設中で、第1期20GWh・第2期30GWh、合計50GWhの年産能力を予定しています
遼寧省瀋陽市でも2022年に新工場建設を発表し、第1期で20GWhの能力を整備中です

さらに四川省簡阳市と雲南省曲靖市で合計43GWh(各20GWhと23GWh)の新工場建設計画が2023年に発表されました
これらにより国内生産能力は今後も飛躍的に拡大します

海外生産拠点
中国国外への展開も加速しており、2025年2月にマレーシア・クダ州クリムの新工場が稼働を開始
同工場はEVEにとって初の海外電池工場で、年産6億8千万本(21700型円筒セル、用途は電動工具・二輪車等)の能力があります

欧州ではハンガリー・デブレツェンに約14億ドルを投じ、BMW向けの大型円筒NMC電池工場(年28GWh)を建設中で、2026年稼働予定です
米国ではダイムラー・PACCARとの合弁「Amplify」でミシシッピ州に年21GWhのLFP電池工場を2024年着工し、2026年稼働予定です

このようにEVEはアジア・欧州・北米に生産拠点網を構築しつつあります

スマート製造技術
EVEの工場では高度な自動化・デジタル化が導入されています
2024年9月にはスイスのABB社とスマートファクトリー構築に関する包括的提携(MoU)を締結し、最新鋭の生産ライン設計やグリーンエネルギー導入を推進しています

生産プロセス全体のIoT化・AI活用により品質検査や歩留まり向上を図り、トレーサビリティ確保にも注力しています
また、荊門拠点では電池セパレーターの自社内製化に向けた工場建設(年産16億㎡)を行うなど、サプライチェーン一体型の効率的生産体制を築いています
各工場では環境負荷低減策(廃液・排ガス処理や再生エネルギー活用)も講じられており、低炭素でスマートな製造拠点として運営されている

生産能力の総計
2025年初時点で、EVEは世界で延べ53の電池生産拠点(生産ライン)を擁すると報じられており、中国国内外の計画中案件まで含めた総年間生産能力は数百GWh規模に達します
これにより旺盛な世界需要に応える供給体制を構築