EVE Energy(惠州億緯鋰能)詳細調査レポート:経営、財務状況
経営状態(財務状況)
売上高・利益
2024年の売上高は約486.1億元で、前年比0.3%の微減、純利益は40.8億元で前年比0.6%増となり、成長が頭打ちとなりました
以下の表に主要財務指標をまとめます:
年度 売上高 (人民元) 前年比 純利益 (人民元) 前年比
2022年 3,619.6億元 +114% 35.09億元 +21%
2023年 4,868.6億元 +34% 40.50億元 +15%
2024年 4,851.6億元 -0.3% 40.76億元 +0.6%
注: 2022年に売上高が前年の2倍超に拡大する急成長を遂げましたが、その後2023〜2024年は成長が停滞しています
四半期動向
直近では2025年第1四半期に売上高が前年同期比37%増の127.9億元、純利益は同3.3%増の11.0億元と大きく増収しましたが、利益成長は控えめでした
売上急拡大に対し利益率の伸び悩みが見られ、利益率の低下(純利益率約8.6%)が示唆されています
利益率とセグメント別動向
エネルギー貯蔵用電池(ESS)部門が好調で利益を下支えしています
2024年上期にはエネルギー貯蔵用バッテリーの出荷量が前年同期比133%増の20.95GWhに達し、同部門の粗利益率は14.38%と業界の価格下落に対する重要な緩衝材となりました
一方、電動車向け動力電池部門は価格競争で粗利率が11.45%まで低下し苦戦しました
このように高収益のESS分野の成長が、EV電池分野の利幅圧縮を補っています
財務健全性
多額の設備投資に伴い負債が増加しています
2024年末時点の総負債は約2,555億元で、株主資本比率(D/E)は約63%に達しました
さらに2025年初には転換社債発行等により負債が約3,251億元まで増加し、D/Eは約79%に上昇しています
一方で現金・現金同等物は2024年中頃で125億元を確保しており、流動性は「健全」と評価されています
もっとも、設備稼働率の低下や価格下落で利益が圧迫される中、財務レバレッジ上昇には注意が必要です
成長率と今後
2021〜2022年にかけて年率100%を超える爆発的成長を遂げた後、2023〜2024年は成長が鈍化しました
市場供給過剰による価格下落など逆風下で利益率確保に苦心しており、今後はコスト構造の改善や高付加価値製品へのシフトが課題です
もっとも、エネルギー貯蔵分野の急成長や海外需要の取り込みで売上は拡大傾向にあり、2025年以降は収益改善と成長軌道への回帰が期待されています